恋愛心理

会話は「ちょうどいいところ」で終わらない? デートの切り上げどきの心理

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図解・イラストはAIを使って作成しています。

デートの帰り道、「長く引き止めすぎたかな」「いや、早く帰りすぎたかも」と考えてしまう。 どちらに転んでも、なんとなく自分が失敗した気がする。 そんなふうに迷ってしまうのは、あなただけではありません。

実は、会話が「2人ともちょうどいい」と思うところで終わることは、もともと少ないようなんです。 心理学には、会話はお互いが終えたいタイミングではほとんど終わらない、という研究があります。 だから、ぴったりの切り上げどきを当てられなかったのは、あなたの空気の読み方が下手だからとは限りません。 空気を読んで当てにいくより、会う前に「だいたい何時ごろまで」を決めておくほうが、ずっと楽に終われます。

「ちょうどいい終わり」は、めったに来ないものなんです

切り上げどきで悩むのは、「正解のタイミングがどこかにあるはず」と思っているからかもしれません。 相手が満足していて、自分もちょうど話し終えた、その一点を探してしまう。 わたしも、その気持ちはよくわかります。

ところが、研究の結果を見ると、その一点はそもそも重なりにくいようなんです。 2人の「そろそろ終わりたい」は、別々のタイミングでやってくる。 しかも、相手のそのタイミングは外からはほとんど見えません。

そう考えると、デートの終わり方は「当てるもの」ではなくなります。 ずれるのが普通、という前提に立ってみてください。 そのうえで、ずれても気まずくならない終わり方を考えたほうが、ずっと気が楽になるはずです。

どんな研究で、どこまで言えるのか

この話のもとになっているのは、Mastroianniさんたちが2021年に発表した研究です。 アメリカの学術誌『PNAS(米国科学アカデミー紀要)』に載っています。

研究は2つあり、合わせて932の会話を調べています。

  • 研究1:親しい相手との会話
  • 研究2:初対面の相手との会話

わかったことは、次のとおりです。

  • 2人ともが終えたいと思ったタイミングで会話が終わることは、ほとんどなかった
  • 望んだ長さと実際の長さのずれは、平均すると会話時間の半分くらいあった
  • 相手がいつ終えたいと思っているかは、ほとんど分かっていなかった

たとえば1時間の会話なら、30分ぶんくらいずれている、というイメージです。 思っていたより、ずっと大きなずれなんです。

ただ、この研究にはひとつ注意書きがあります。 この研究は、デートや恋愛の場面で直接確かめたものではありません。 対象は、親しい相手との会話と、初対面の相手との会話です。 なので「デートでも必ず同じことが起きる」とまでは言えません。

それでも、親しい相手と初対面の相手、どちらの会話も調べたうえでの結果です。 まだお互いを知っている途中のデートにも、考え方のヒントとしては使えるはずです。

図解

デートで切り上げどきがわからなくなる理由

会話の終わりが読めないのは、ふだんの会話でも同じです。 デートだと、そこにもう少し事情が重なります。

まず、相手も気をつかっています。 「楽しくなかったと思われたくない」と思えば、自分から「そろそろ」とは言い出しにくいものです。 研究で「相手の終えたいタイミングはほとんど分かっていなかった」とあるのは、ここからはわたしの想像ですが、こうした遠慮が見えにくいことも関係しているのかもしれません。

次に、あなた自身も相手の様子を読もうとしています。 スマホを見た、少し黙った、飲み物が空になった。 そのたびに「帰りたいサインかな」と気になって、目の前の会話に集中できなくなってしまう。 …それだと、せっかくの時間がもったいないと思ってしまいます。

サインを読むこと自体は悪くありません。 ただ、研究では、相手がいつ終えたいかはほとんど分かっていませんでした。 サインを読みにいっても、当たりにくいと考えておいたほうがよさそうです。 読めないものを読もうとして疲れるより、別の方法を持っておくほうが、あなたも相手も楽になります。

「読む」より、先に「決めておく」

読めないなら、どうすればいいか。 ここから先は研究の話ではなく、研究を読んでわたしが考えた方法です。 わたしがおすすめしたいのは、終わりの時間を先に決めて、相手にも伝えておくことです。

たとえば、会う前の段階で「だいたい何時くらいまで」と軽く共有しておく。 それだけで、終わりは「どちらかが言い出すもの」から「予定どおり来るもの」に変わります。 相手は「そろそろ」を言い出す気まずさを背負わずにすみますし、あなたもサインを読み続けなくてよくなります。

目安を決めるときは、少し短めに置いておくのがおすすめです。 短めに終わっても、相手から「もう少しいたい」と言われたときに延ばせます。 反対に、長めに決めてしまうと、途中で切り上げるほうが言い出しにくくなります。

伝えるのは、日程を決めるときに時刻を1つ添えるくらいで十分です。 当日になってから切り出すより、ずっと言いやすいはずです。

もうひとつ、「もう少し話したかった」で終わるのを失敗と思わなくて大丈夫です。 研究のとおり、ずれはあるのが普通です。 少し物足りないところで別れたなら、それは「次に話したいことが、まだ残っている」ということなんです。

帰り道の「長すぎた?短すぎた?」反省会をほどく

デートのあと、終わり方ばかり思い出してしまうことがあります。 「あそこで帰ると言うべきだった」「引き止めたのは迷惑だったかも」。 こういう夜、覚えはありませんか。

ここで思い出してほしいのが、ずれは平均で会話時間の半分くらい、という数字です。 あなたが「少し長かったかも」と思っていても、相手はちょうどいい、あるいはもっと話したかったと思っている可能性もあります。 逆の場合もありえます。 つまり、終わり方ひとつで相手の気持ちを判断するのは、もともと難しいんです。

反省するなら、終わり方を細かく巻き戻すのではなく、次に1つだけ試すことを決めてみてください。 「次は会う前に、だいたいの終わりの時間を伝えてみる」くらいの小ささで十分です。 相手の気持ちは、終わり方の採点ではなく、そのあとのやりとりが続くかどうかで見ていけば大丈夫です。

相手が「そろそろ」と言ったときの引き際

最後に、大事なことを書いておきます。 切り上げどきは読みにくい、という話をしてきましたが、相手がはっきり言葉にしてくれたときは別です。

相手が「そろそろ帰ろうかな」「明日早いので」と言ったら、そこで引き止めないでください。 「あと1杯だけ」「もう少しだけ」も、相手が「そろそろ」と言ったあとには言わずにおきます。 「楽しかったです。気をつけて帰ってください」で、気持ちよく送り出してください。 相手が言いにくい「そろそろ」を口にしてくれたのは、それだけ気をつかって伝えてくれたということです。 そのほうが、相手の中に残る印象もやわらかくなるはずです。

デートのあと、次の約束への返事がないときも同じです。 返事の催促はせず、別の手段で連絡を取りにいくこともしないでください。 目安として1週間ほど反応がなければ、こちらからは送らずに、そこで区切りをつけます。 相手には相手のペースや事情があります。

会話が「ちょうどいいところ」で終わらないのは、誰にとっても同じです。 だからこそ、ずれたことであなた自身を責めすぎないでほしいと思っています。

2回目のデートの時間の決め方や、切り上げのひと言の実物は、こちらのnoteで紹介しています。 note の記事を読む

出典・参考文献

  1. Mastroianni, A. M., Gilbert, D. T., Cooney, G., & Wilson, T. D.(2021)「Do conversations end when people want them to?」Proceedings of the National Academy of Sciences 118(10), e2011809118. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33649209/

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